暑い日が続きます。酷暑、極暑、猛暑どの言葉も今年の夏を現しています。ちなみに、酷暑日とはマスコミが最高気温35度以上の日に使用するようになった表現だそうです。気象庁は猛暑日を正式な予報用語にしています。この夏は、猛暑と今まで経験のない豪雨でたくさんの被害が出ました。その基礎に地球温暖化があるとしたら怖いことです。南海トラフ地震、富士山噴火などの大災害に対し自然が人類に警鐘をならしているのでしょうか。何はともあれ、「備えあれば憂い無し」の格言通り備えをしっかりするべき時かもしれません。
当院は2008年に建て替え、新しく診療所と通所介護、小規模多機能居宅介護を併設しました。以前の建物は入院施設がありましたが、現在入院施設はありません。最初の計画では19床で入院施設のある診療所を目指し、設計も進んでいました。しかし、有床診療所を取りまく環境は厳しく、入院施設の存続が難しくなり、入院の変わりにステイのできる、小規模多機能施設に変更しました。通所介護と異なり、小規模多機能施設では医療の提供が可能です。医療と介護。この二つは仲の良い姉妹のような関係です。しかし、その提供となると、まるで仲の良い姉妹が別々の家に嫁ぎ、各々の家で、その家の状況に合わせて暮らし、仲が良いのにたまにしか合う事が出来ない姉妹のようです。医療でしかできないことも、介護でしかできないこともあります。でも、この二つが両方同時に提供されると、二つ以上の力が発揮できます。
以前、癌の終末期で当院の小規模多機能施設たんぽぽを利用することになった方がおられました。その方は病院からの転院でしたが、当然気分はふさぎがちでした。たんぽぽでは、各種リクレーションがあり、元気な声で歌を歌ったり、わいわいとご飯をたべたり、笑い声がそこら中に響いています。今から死にむかう方とがんばって生きていこうとする方が同時にたんぽぽで生活する状況でした。すると、ターミナルの方もだんだん歌を口ずさんだり、食欲が増したり、笑顔がみられるようになりました。また、経口摂取不能とされていた方が、皆で楽しくソーメン流しをしているのを見て、テーブルにあったおかずを手で持ち、食べ始めたこともありました。医療と介護が同じ場所で同時に提供できたら、もっと良い結果がでるのではないかと考えさせられる経験でした。
現在、たんぽぽでは、利用者の方を看取ることが多くなってきました。病院の看取りと違う点は、仲間や家族、良く知った職員がいるという点だと思います。同じ釜の飯を食べた他の利用者さんたちも、調子の悪くなった方の状況は、わかりますが、誰も取り乱しません、粛々とその方の逝去を受け入れてくれます。後から、私も行くからね。と言う感じでしょうか。たんぽぽでは医療的な提供もできるため、緩和ケアにも力を入れています。家族や同じ釜の飯を食べた仲間に見送られ、旅立つことも出来ます。
医療と介護が同時に提供できる施設はまだあまりありません。病院と介護施設。この二つは仲の良い姉妹です。兄弟仲良くという言葉通り、これからは医療と介護の融合を目指す施設が必要になると思います。手術をした方と同じフロアから歌が聞こえ、手芸や体操のプログラムがあり、癌のターミナルの方も出来るだけ参加できるリクレーションがあり、死と生の共存がある病棟。このような施設があれば、病気から介護まで幅広く対応できるのにと考えています。一進会では医療と介護のさらなる融合を目指し、日々頑張って行きたいと思っています。
一歩前に進もう一進会!