今年の冬は寒かったので、早く夏のように暑くなれば良いのにと、考えていました。しかし、いざ暑くなると、冬の寒さが恋しくなります。ただ、私の人生で過ごすことのできる夏はあと30回ぐらいと思えば、夏の暑さをしみじみ味わいたいのですが、やっぱり、暑いです。今の気持ちは“早く来い冬”です。
平成7年1月末、突然教授室に呼ばれた。
教授「河合君、I先生の後任として3月からミシガンに行って、人工肺の研究をしてきてくれんか。」
私は、教授の言っている内容が良く分からないまま、いつも通り「はい。」と返事をした。あの頃、教授の命令は絶対で、何を言われてもまず、はいと返事をする習慣がついていた。あとから考えると、あと2ヶ月しかない事に気づき、冷や汗でぐっしょりとなってしまった。翌日、今は亡き、駅前留学の英会話スクールに申し込み、2ヶ月で話せるように頼んだが、効果が無いまま、3月末、米国、ミシガン州、デトロイト空港に到着した。今回はI先生が迎えに来てくれたので、空港から、約1時間でミシガン大学のあるアンアーバーという、街に着き、ここで、I先生宅に2週間ホームステイし、仕事の引き継ぎや書類の整理を行い、帰国した。
5月、今度は妻と再渡米した。空港でレンタカーを借り、始めて外車(左ハンドル)に乗る。ハンドル、通行車線すべてが今までと反対。車もでかい。パニックになりながら、空港を出発する。すぐ、高速のインターチェンジが見えるが、東西のどちらに乗るか分からない。ナビもない。地図を見る妻のナビに頼るしか無い。
私「どっち?」妻「分かる訳ないがー。」私「なんで?」後で考えると分からないのは当たり前であった。その時は二人ともパニックになっていた。インターチェンジは迫ってくる。一か八か、左に曲がる。今度は本線に入らないといけない。サイドミラーを見ても、左ハンドルに慣れていないため、右ミラーから見える映像を頭が理解できない。首を右から後ろに回し、後方確認。いっぱいライトが来ている。ここは、突っ込むしかないが右の助手席にいる妻がじゃまになる。「何で右に座っとん?」と思うが、これは左ハンドル。しょうがない。とは、その時思えず。ドキドキしながら、「車来ないで!」と祈りながら走る。合流成功。しばらく走り、方向も合っていることが分かると、心から、神に感謝した。この日より、私の留学生活が始まった。
以後、この時の経験を生かし、人生の岐路があると、左の道を選んでいる。多分、その選択は間違っていないと思う。神に感謝。(次号につづく)