帯状疱疹という病気を聞いたことがあるでしょうか。最近、帯状疱疹ワクチンのテレビコマーシャルを放映しているので、ご覧になった方も多いと思います。今までに帯状疱疹にかかったことがある方は、治るまでに時間がかかったり、治った後でも痛みが続いたりしてご苦労された方もおられると思います。
そもそも、帯状疱疹とはどういう病気でしょうか。帯状疱疹は子供の頃に感染した「水ぼうそうウイルス」が原因です。水ぼうそうが治った後も体の中の知覚神経節などにウイルスが潜伏を続けています。加齢や免疫機能の低下により、再び潜伏先から表面に出てくると発症します。主な症状は皮膚表面の水ぼうそう様の発疹と痛みで、帯状(おびじょう)に発疹が現れるため帯状疱疹と呼ばれています。80歳までに3人に1人が発症する国民病の一つになっています。(発症者の2割は50代が占めるというデータもあります。)治療は抗ウイルス薬の内服や塗布、痛みには鎮痛剤の内服です。しかし、発疹が治った後も痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」という神経障害性疼痛が長期間続く方が1−2割あります。また、帯状疱疹発症後、脳卒中や心筋梗塞のリスクが数年にわたって増加する報告やフレイル(要介護状態に近い状態)の進行を認めた研究結果があります。
それでは、帯状疱疹を防ぐためにはどうしたら良いのでしょうか。心身を鍛え、ストレスの無い生活をおくるかワクチン接種になります。現在国内で接種できるワクチンは2種類です。一つは、小児に接種されている水痘ワクチン(生ワクチン)です。皮下に1回接種します。安全性は高く、帯状疱疹の予防効果は61.1%、帯状疱疹後神経痛の予防効果は66.5%程度とされています。予防効果は6年程度で効果は加齢に従い低下します。生ワクチンのため、免疫異常のある方や免疫抑制剤を内服している方は使用できません。岡山市での自己負担額は4480円となります。
もう一つは、組み換えワクチン「シングリックス」です。通常2ヶ月の間隔をおいて2回筋肉内に接種します。10年以上にわたって80%以上の予防効果があります。免疫低下の方にも投与でき、ワクチン効果は加齢に影響せず、どの年代にも効果が認められました。副反応はいづれも、接種した部位の痛みや痒みの他、全身倦怠感、発熱がありますが重篤な症状はなかったそうです。シングリックスは2回接種のため、痛みが2回、倦怠感が2回、出費が2回あるが、痛い思いをする分効果が高いと理解すれば良いと思います。ちなみに岡山市ではシングリックスの1回の値段は11080円です。
今年度の帯状疱疹の予防接種は年度内に65歳になる方。昭和35年4月2日〜昭和36年4月1日生まれの方(現在65歳でも昭和35年3月15日に生まれの方は対象ではありません。考え方は小学校の同学年の方で今年度に65歳になる方が対象です)すでに65歳を超えている方は70, 75, 80, 85, 90, 95,100歳になる方も対象です。令和7年度に限り100歳以上の方は全員対象となります。対象時期を逃すと接種は全額自己負担となります。自己負担額は接種医療機関で異なります。50歳代で接種したい方も全額自己負担となります。帯状疱疹を予防できる唯一の方法がワクチン接種です。じっくり考えて下さい。私は注射が嫌いなので多分しないと思いますが・・・・。