岸田総理は新型コロナウイルス感染症を感染症法の2類から5類への移行を決定しました。2類の疾患には結核などが該当し、5類は季節性インフルエンザや梅毒などがあります。2類の時はワクチン接種や入院・検査が公費負担でしたが、感染すると7日間自宅待機などの行動制限がありました。5類になると、検査や治療が通常の病気と同じように保険診療となりますが、行動制限がなくなり、自分で管理しなければならなくなります。現在、どの病院も発熱外来やコロナ専用病床を持っていて、一般の診察や入院の方と接しない努力をしてきました。5類になると、このような専用の措置が無くなり、コロナ感染の方も通常の外来での治療となる可能性があります。コロナ感染症は若年者にとっては、少し強い風邪でも、高齢者にとっては、まだまだ怖い病気です。コロナ感染を悪化しない薬として、65歳以上や重篤な基礎疾患がある方にはパキロビッド、ラゲブリオなどの内服薬があります。しかし、現段階では処方するために病院や薬局の登録や患者様の承諾書が必要で、簡単に処方できる薬ではありません。日本で開発されたゾコーバ錠も承諾書が必要で小児や妊婦は内服出来ない薬です。流通量も極端に少ない状態です。
経済回復にはコロナ感染症を2類から5類に変更し、制限なしの生活に戻すことが大事になってきます。医療者の観点から考えると、コロナ感染症の感染力は強力で、感染の方とそうでない方を分けなければ、随所で大型のクラスターが発生し今以上の医療崩壊が起こる危険性があります。そして、その影響を一番受けるのは高齢者です。
インフルエンザは治療薬がありますし、基礎疾患のある方は感染を防ぐために内服することが可能です。しかし、コロナ感染症は治療薬自体が無く、重症化防止の薬も、処方に制限があり、流通量も少ないです。コロナ感染症を5類に変更するなら、治療薬が出来た時点での変更か、せめて重症化予防の薬を今より簡単に処方できる体制を作り、咳止めや去痰剤、解熱剤の品薄状態を改善してから5類に変更して欲しいです。
例えば、「コロナ検査で陽性でした。今日からすぐゾコーバと咳止めと解熱剤を処方しますのですぐ内服して下さい」と言えるような状態での5類移行を望みます。