平成も残り一ヶ月となりました。私にとって平成という時代は青春時代やバブルの時代を経験し、外科医としての修練を積み、なんとか一人前になれた時代が平成でした。言い換えれば、人生の前半が平成で、これから迎える新たな元号が人生の後半になります。あと一ヶ月で人生の後半のスタートです。足るを知ることで、人生の後半を乗り切りたいです。
「足るを知る」。老子の言葉で「満足することを知っている者は心豊かに生きることができる」と説いています。しかし、満足することを知ることは非常に難しいです。例えば、超話題のスイーツ店でメニューを見ると、あれも食べたい、これも食べたい、出来るなら全部食べたいと思ってしまいます。ここで自分の心に問いかけて下さい。「こんなに沢山のケーキを食べて、後から後悔しませんか?」と。
自分が本当に欲しい物を自分にとって適量選ぶことが「足るを知る」ことだと思います。食べ物だけに限らず「足るを知る」ことは、人生を豊かにしてくれます。作家の小川糸さんが素敵な「足るを知る」を紹介してくれています。
それは、「ラトビアの十得」と言います。まず、ラトビアとは何ぞや?と思われかもしれません。ラトビアはバルト海東岸に小さく並ぶバルト三国の一つで面積は九州の1.76倍の国です。この国に昔から伝わる十得は、日本人にも違和感無く心に入ってきます。
「常に、正しい行いをしましょう。隣の人と仲良くしましょう。自らの知識や能力を社会のために惜しみなく差し出しましょう。まじめに楽しく働きましょう。それぞれの役割を果たしましょう。向上心を忘れずに、自らを洗練させましょう。家族や隣人、故郷、自然など衣食住の全てに感謝しましょう。どんな状況におちいっても朗らかに明るく受け止めましょう。ケチケチせず、気前よくふるまいましょう。相手の立場に立って寄り添いながら生きていきましょう。」
この十得を人生の指針として、私は人生の後半を過ごしていきたいです。