今年もあと二ヶ月になりました。今年の夏は記録的な暑さでしたが、この冬も西日本地方は寒くなり、例年より雪が多いという予報が出ています。いつも寒い寒い冬には、暑かった夏を懐かしく思いますが、この冬はどうでしょうか。冬で困るのは、風邪やインフルエンザの流行です。今年は、インフルエンザワクチンの製造が遅れ、市場に出回る数が減っているため、13歳以上の方は一回の接種となっています。当院では、昨年と同じ数のワクチンは確保しています。ワクチン希望の方は受付に申し出て下さい。申し訳ありませんが、予約は行っておりません。
癌と聞くと不治の病のようなイメージが付きまといますが、私たちは一生のうち2人に1人は癌になり、3人に1人は癌で亡くなります。そう考えると、まさに「がーん」と衝撃が走ると同時に、とても身近な病気でもあります。
癌という字は、品物の山にやまいだれでできています。たくさん食べたり、たくさん飲んだりした結果起こる病が癌という意味かもしれません。また、『嵒』という字は硬いという意味もあり、「硬いできもの」の病として癌という字ができたのかもしれません。癌という字にも意味があります。
では、なぜ癌ができるのでしょうか?人体は37兆2千億個の細胞から出来ています。どの細胞も同じ遺伝子を持っていて、細胞は日々同じ遺伝子をコピーしながら新しい細胞に生まれ変わっています。細胞がコピーミスを起こすことが、癌の原因になります。通常でもコピーミスは一日に数千回起こると言われていますが、ちゃんとミスを修復する装置が機能しています。加齢により遺伝子が傷つくと、コピーミスが起こりやすくなり、癌の原因になります。また、タバコやウイルス感染、癌遺伝子は遺伝子に傷をつけたり、修復機能が作動しなかったり、遺伝子自体が癌を作るプログラムを持っていたりします。
女優のアンジェリーナ・ジョリーさんは遺伝子検査で生涯に乳癌を発生する確率が87%だと判明し、母親が57歳という若さで卵巣癌のために亡くなったため、40歳で両側乳房の全摘出術を受けました。現在癌の発症には環境要因と遺伝要因があると言われています。現在分かっている遺伝性の癌は全体の数%と考えられています。残りの癌は環境要因が原因です。
環境要因には食生活、飲酒、喫煙、ウイルス感染(肝癌の肝炎ウイルス、子宮頸癌のパピローマウイルス)、胃癌などのピロリ菌感染があります。癌にならないためには、癌になる環境要因を避けることが大事になります。
もし癌になったらどうするか?現在の医学は、早期癌は克服出来ます。癌になっても早期発見、早期治療が一番大事です。そのために大事なのが、癌検診です。岡山県の癌検診の受診率は全国でも低いようです。癌克服のためにも、検診を受け、元気な岡山県民でありたいです。