4月といえば桜前線とカレンダーをにらめっこし、花見をいつにするか悩むのも楽しみの一つです。日本人と桜は切っても切れない関係があります。花見の時は、朝から晩まで一日中大手を振ってお酒を飲むことが出来ます。日頃、こっそりお酒を飲まないといけない方もこの日ばかりはご馳走を食べて堂々と飲むことが出来ます。
お酒を飲みすぎた後、関節が腫れて強い痛みを伴うのが「痛風」です。痛風は大酒飲みや豪華な食事を食べる人の病気というイメージがあります。その痛風ですが、お酒を飲まないのに痛風になったり、逆に大酒を飲んでいるのに痛風にならない人がいます。
痛風の原因は血液中の尿酸が高くなる「高尿酸血症」が原因です。現在日本で痛風の治療をしている方が約130万人で、予備軍と考えられる高尿酸血症の方は1000万人以上と推定されています。1000万人の高尿酸血症の方が皆、大酒飲みかというとそうではありません。高尿酸血症は遺伝的要因が強いことがわかってきました。
防衛医大の松尾洋孝教授と大阪大学の岡田随象教授は痛風に関わる遺伝子を特定し、痛風の原因は遺伝子的な体質ではないかと考えられるようになりました。今後、遺伝子別に痛風発作の治療を選択する時代がくるかもしれません。
しかし、実際の医療現場では薬剤の進歩により、高尿酸血症は十分治療可能な疾患になっています。痛風が出たら、すぐに尿酸を下げるのでは無く、痛みが治ってから、ゆっくり尿酸を6㎎/㎗以下まで下げることが再発作を起こさない治療法だとされています。もちろん、飲み過ぎや食べ過ぎは良くありません。肥満、飲酒、加齢は尿酸値を上げる要因です。生活習慣を改善し、減量や節酒に努めた上で、薬を使って尿酸を6㎎/㎗以下まで下げると痛風は防げるようになります。お酒を飲まないのに尿酸の高い方は、遺伝子的な関与がある可能性があるため、生活改善よりも内服治療が必要だと思います。
4月の花見が終わったら、尿酸が高い方は生活改善と治療を開始してみませんか。運悪く花見の後に発作が出た方は、発作が治ってからにしましょう。