先日選挙がありました。選挙前に政治家が「全身全霊」とか「真摯」や「誠実」という言葉をよく使います。この言葉を使う本人が本当に誠実な人でないと言葉自体の力が無くなり、演説を聞く側に言葉が届かないと思います。
古くから「言霊(ことだま)」という言葉があります。言霊は「言葉が目に見えない力を持っていること」です。発した言葉が何らかの形で現実に影響を与え、良い方向へも悪い方向へも導くと考えられています。例えば、炊き上がったご飯を二つの茶碗にとり、一つには「おいしくいただくよ。ありがとう。」と声をかけ続け、もう一つには「まずそうだな。早く悪くなってしまえ。」と声をかけ続けると、「ありがとう」と声をかけたご飯の方が長く腐らなかったという実験結果があるそうです。
言霊の力を信じない、あるいは、言霊のご加護が無い政治家が選挙前に壮麗明大な言葉を、言葉の力を借りて、本当は無いものをあるように見せかける発言は言葉自体の力が失われ、その政治家が薄ぺらく見えてしまいます。空気に流されず、自分の言葉で自分の思いを伝えることが出来る政治家に日本の将来を託したいと思いました。言葉は言霊。たった一言が人の心を傷つけることもあれば、たった一言が人の心を温めます。政治家をはじめ、心を持った言葉を発する人はどのような人か、どうやったらなれるか。今回の選挙を通して考えるきっかけになりました。日本語という言葉は、まだまだ神秘を持っています。この言葉を使う私たちすべては、その言葉の力である言霊を使うことができます。これからも日本語の力を信じ、日本人の共通言語という認識だけではなく、共通母体で魂の一部だと考え、日本語を大事にしたいと思いました。
今年を振り返ると、能登半島地震に始まり、各地に豪雨災害や台風による被害が起こりました。幸い、岡山市は大きな災害に見舞われませんでした。テレビでは「100年に一度」という言葉をよく耳にしました。今が「100年に一度」であれば来年は同じ規模でも「50年に一度」、再来年は「30年に一度」になります。異常気象が異常ではなく例年の出来事となる時代になるかも知れません。災害は身近に迫っていると考え、備えることが重要であると考えさせられる一年でした。