JAXA探査機SLIM(スリム)が先日、月面着陸を成功させました。世界では5カ国目になります。日本の探査機が地球以外の天体への着陸に成功したのは2005年のはやぶさ(小惑星イトカワ)、2019年のはやぶさ2(小惑星リュウグウ)に続き3例目となります。
SLIMは2023年9月種子島宇宙センターから打ち上げられ、12月に月の周回軌道に入り、2024年1月19日から高度を下げ、20日午前0時ごろ月面降下を開始し0時20分に着陸しました。今回のSLIMの目標は、従来の探査機では数キロから数十キロあった着陸時の誤差を、わずか100メートル以内に狭めることでした。実際、月の表面は斜面があったり凸凹があったりと着陸が難しい場所が多いようです。SLIMは自ら撮影した月面画像基に、自身の位置を推定し、同時に、事前に用意した月面地図と照合して安全な着陸地点を自立的に探すことが出来ます。この技術を基に今回着陸目標に誤差を何と10メートル以内のピンポイント着陸に成功しました。ただ、予定と違った姿勢で着陸したため太陽パネルによる発電量が減り、特定のデータの転送しか行えなかったようですが、太陽の向きが変わり発電出来るようになると月の岩石探索など次のミッションも成功させました。
SLIMは軽乗用車程度の大きさです。地球から月までの距離は約38万キロ、時速200キロで行っても約80日かかる距離です。これほど離れた距離をわずか10メートルの誤差範囲で目標まで到達出来る技術を日本は持っています。この技術を応用すると、車を自動で目的地まで移動させる事など、すぐ達成出来そうな気がします。車自体が事前にインプットされた地図を基に、複数のカメラから周囲の状況を判断し、信号や横断歩道、通行人や自転車を認識し、自立的に安全に走行する。この技術をもっともっと安価に現実出来る技術を確立すれば、日本の技術が世界の自動運転をリードする時代がやって来るかもしれません。
ちなみに私の乗っているスバルも高速道路では地図を認識して前の車に追従したり、設定した速度でレーンキープしてくれます。レーンキープとは車がハンドルを操作することです。ただ、ハンドルから手を離してしまうと車から注意を受けます。私はそっとハンドルに手を添えているだけで、まるで自動運転です。料金所では車が勝手に速度を落とし通過後は元の速度まで自動的に復帰します。カーブでは車が自己判断でスピードを緩めてくれます。高速道路ではほぼ自動運転が現実しています。JAXAの技術と融合できれば自動運転は、もうすぐそこまでやってきています。