精一杯やったことがありますか?精一杯とは精力を全部出し尽くして頑張ることです。精一杯生きるとは難しそうに思えますが、この中に今を生きるためのヒントがあります。
毎日新聞の海原淳子先生のコラムでブエノスアイレスの精神科医で作家のホヘル・ブカイ氏の寓話セラピーという作品の中に「生クリームの中の蛙」の話の紹介がありました。
『昔生クリームの瓶に落ちてしまった2匹の蛙がいた。2匹ともしばらくして自分達が沈み始めていることに気がついた。生クリームは濃い液体で浮いているのが難しかったのだ。そこで2匹は手足をばたつかせて浮いていようとした。しかしこれは労力がいることですぐに沈んでしまい顔を出して浮くのが難しくなってきた。1匹は「こんなことをしてもどうせだめ」とあきらめ沈んでいった。もう1匹の蛙は我慢強いというか「いくら死が迫っているとはいえ最後まで生きるのだ」と足をばたつかせていた。重い液体の中では1センチも動けず元の場所に浮いたままなのに同じ場所を何度も足を動かし続けていた。するとさんざん足を動かしたために突然生クリームが固まってバターになり蛙は驚いてひとっ跳びして瓶の縁に飛び移り帰っていったのだという。』
この話は「やっても無駄」、「年寄りには出来ない」などを理由に努力をしたくない方々には苦いお話かもしれません。このお話を元に「精一杯」を考えてみると、「精力を全部出し尽くして頑張る」という感じではなく、「できる限り自分ができることをする」と捉えると少し気楽に「精一杯頑張る」気持ちになれるのではないかと思います。
蛙といえば、某うどん店のテイクアウト商品から蛙が出てきたニュースがありましたが、この蛙も「精一杯生きる」派の蛙だったのでしょうか。芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を読んで以来、蜘蛛を見つけても、いつか窮地に陥った時に助けてくれるかもしれないと見て見ぬふりをしてきました。これからは、蛙を見ても「よく頑張っているな」と声をかけるかもしれません。漫画の「ど根性ガエル」を思い出しました。蛙は根性があるのですね。
もし、自分の人生で生クリーム瓶に落ちるような出来事に遭ったとしたら、「ど根性ガエルのピョン吉」を思い出し、その時は自分なりに精一杯足を動かそうと思っています。