毎日コロナウイルスの話ばかりで飽き飽きしていませんか。今回は最近問題になっている他のウイルスについてお話ししたいと思います。
マダニって聞いたことあるでしょうか。布団の中にいて、時々刺されて痒くなったり、喘息などのアレルギーの原因になるダニではありません。マダニは屋外に住み、体長は3-8mmで人や動物に咬みつき血を吸います。血を吸うと大きくなり体長が1-2cmの大きさになります。胸に急に大きなホクロが出来たと思っているとこれがマダニだったという声もちょくちょく耳にします。咬みついても痛みは無く、血を吸って大きくなった時に気付きますが、体が丸く大きくなるため、マダニの足や頭が見えず、本当に急に大きくなったホクロのように見えます。ホクロを触って初めて、ブヨブヨした感じでまるで血豆のようです。当院でも年に1-2名程度の方がマダニに咬まれて来院します。県南のこの地域にもマダニはいます。
そのマダニに咬まれた人の中に致死率の高い「重症熱性血小板現象症候群(SFTS)」を発症することがあります。原因はマダニの中にいるSFTSウイルスです。症状は発熱と発疹や嘔吐下痢などの体調不良で6-30%の方が死ぬ怖い病気です。2009年中国で発見され2013年に日本でも見つかっています。マダニの全てがSFTSウイルスを持っているわけではないので、マダニに咬まれたらからと言ってSFTSになるわけではありません。
恐ろしい事に、最近マダニに咬まれたペットからSFTSに感染した例が少なくとも12件(ネコ11件、イヌ1件)確認され、うち1件は死亡していたことが分かりました。マダニに咬まれて感染したネコやイヌに咬まれたり、唾液やふんに触れることで感染します。ペットの致死率はネコで60-70%、イヌで50%に上ります。この他にも、西日本で野良猫から感染した女性が死亡したとみられる事例があります。
室内で飼っているネコやイヌが感染することはほとんど無いと思いますが、野良猫や野良犬(ほとんど見ることはありませんが)には注意が必要です。野良猫に触ったりすることは控えましょう。その時に引っ掻かれた傷がもとでSFTSを起こす危険があります。ウイルスって本当に怖いです。今、コロナウイルスをはじめ予防接種で防げるウイルス感染症があります。ウイルスに立ち向かうには予防接種が重要です。この冬、まずはインフルエンザの予防接種をお願いします。