平成が終わり令和が始まりました。私の人生の前半が昭和と平成で後半が令和になる予定です。前回の独語で紹介したラトビアの十得を胸に令和を粛々と過ごしていきたいです。昭和と平成には多くの思い出があります。また、この独語で紹介出来たら良いなと思います。
現在日本の平均寿命は世界でもトップクラスです。そのため、高齢化率も25%を超えています。以前の独語で、「死は怖いものではなく、あの世は存在し、良い所だと信じている。」と書きました。今でもその通りだと思っています。でも、現実を考えると高齢化イコール死亡者数も増えているということになります。死というものがより近い存在になったように思います。新しい元号の初めに終末期医療についてお話し、自分の最後について考えるきっかけにしてもらえたらうれしいです。
「リビングウイル」。生前の意思の意味で、病気などで意思表示が出来なくなった時に備えて治療などの希望をあらかじめ残しておくことです。いよいよ臨終という時に、無益な延命治療などしないで、苦しみが無く穏やかに旅立ちたいと思う方も多いと思います。ここでは無益な延命治療と書きましたが、そもそも延命治療って何だろうかという疑問が湧いてきます。
近代までの医学教育には「延命至上主義」があり、患者を少しでも長く生かすことを教えられてきました。確かに若い方の治療は完治を目指し、元通りの体に戻ることを要求されます。しかし、高齢者の場合は多くの疾患を抱えている方が多く、病気を完治することが難しい場合があります。そんな時は病気と共存しながら、うまく付き合っていかなければなりません。そんな中でだんだん食事が出来なくなったり、呼吸がうまく出来なくなった時に考えなければならないのが、延命治療です。点滴や酸素吸入することで改善する場合は延命治療とは言いません。必要な治療ですから。点滴や酸素吸入で改善の見込みがなく、自分で食事摂取出来ない時、胃瘻や点滴、人工呼吸を行い、命を延命することを延命治療と言います。先日、話題になった人工透析は延命治療では無く治療であると結論が出ています。
欧米では口から食べられなくなると、約2週間で看取られています。このような脱水や低栄養の状態ではβエンドルフィンというホルモンが出て、呼吸が楽になり、苦しさが減り、穏やかな最後を迎えることが出来ます。
最後の時に延命治療を受けたいかどうかは自分で前もって決めておく必要があります。そして、その事を予め家族に伝えなければなりません。私達は、そのお手伝いをすることが出来ます。「終末期の治療やケアについて患者さん・家族・医療従事者があらかじめ話し合うことをACP(アドバンス・ケア・プランニング)」といいます。新しい年号の初めに少し自分のACPを考えてみるのはどうでしょうか。