4月、桜の季節です。桜は日本人にとってかけがえのない木です。新しい学年、学校、会社、仕事が始まり、不安でいっぱいな時、桜が元気をくれます。新しいスタートを桜に見守られながら、頑張りましょうか。
認知症の増加には目を見張るものがあります。厚生労働省の調査では認知症高齢者は約462万人で四国四県と島根県を合わせた人口と同じだそうです。
そもそも認知症とはどういうものなのでしょうか?我々のあらゆる活動をコントロールしている脳細胞が様々な原因で死滅し、器質的な障害によって日常生活に支障を来したものを認知症と言います。
その認知症には見逃せないサインがあります。「家族の名前を間違える。」「同じ事を何度も言ったり、聞いたりする。」「同じ物を何個も買ってくる。」「薬をよく飲み忘れる。」などです。
認知症は早く分かれば早く手が打てます。早期発見、早期治療が有効な疾患です。しかし、「まさかうちの親が認知症なんてありえない。」という心理状態が認知症の早期発見を妨げていると言われています。「きっと年をとったせいだ。」などの考えが危険です。また、核家族化が増え、親と離れて暮らす家庭が多くなり、親の異変に気付きにくくなっていることも、早期発見できない現状の一つと考えられます。
認知症は治る病気ではありません。でも、早期発見、早期治療が有効な病気です。いや、これだけ多くの方が罹患する現在、病気というより、老化の一つと考えてもよいかもしれません。視点を変えて考えてみます。認知症は介護者側からの視点で考えられがちですが、本人が一番辛く、不安な日々を送っています。認知症の主人公は本人です。日常生活の中で突然記憶が消えることが多くなる。話そうと思っても言葉が出てこないため一生懸命考えても言葉が出なくなる。今何をするか突然わからなくなる。そんな事を隠すために、怒ったり、黙ったりしています。心の中は不安で不安でしかたないのです。このような状況を少しでも改善できるのが認知症の薬です。
家族と本人が認知症と向き合えるようになった時、本当の家族が生まれます。認知症になり不安な毎日を送る方の本音を聞き、不安を共に乗り越えることが出来る役割を担う人が必要です。その人とは家族のこともあれば、施設の介護者さんのこともあります。家族が認知症と向き合えるように、認知症の方を援助出来る場所が必要です。介護施設は家族と本人を支える場でもあり、その職員の善し悪しで認知症の方の不安感が変わります。
認知症は風邪と同じような普通の疾患となって来ましたが、自然治癒することが無く、早期治療と理解者の下で治療する必要があります。何時か自分も認知症になるかもしれません。その時のために今から認知症について勉強するのはどうでしょうか。