風薫る5月となりました。最近月日が経つのが本当に早くなりました。東日本大震災発生から2ヶ月が経ちました。震災からの復興は遅々として、進んでいませんが、時間はどんどん過ぎてしまします。時間は皆平等なはずですが、東日本では遅く、私の住む西日本では少し早い気がします。
今年は私を含め、多くの人が花粉症に難渋し、いまだにインフルエンザや感染性胃腸炎が流行し、風薫る爽やかな5月とは思えません。寒い日が多くありましたが、すぐ夏のように暑い日がやってくるのでしょうか。西日本では春という季節がだんだん短くなっているような気がします。冬からすぐ夏になり、春は冬から夏の移行期のほんの少しだけの期間となるのなら、とても寂しいです。爽やかな春の日差しの中でもっともっと過ごしてみたいです。
平成22年2月に『悩み』について書きました。その答えではありませんが、なるほどと思う答えを見つけました。藤谷治氏の小説『船に乗れ』の中に以下の文章があります。
【人は成人式を迎えるから大人になるんじゃない。就職するからでもなければ、結婚するからでもない。大人になるのは、こちら側に積極的な理由があるからではないのだ。それは交通事故みたいなもので、ある時期にある経験をしてしまうことで、人は何かに押し出されるように大人になってしまう。よーし大人になるぞ、なんて決心をまずして、それから大人になる、などということはない。だからたいていの人間は大人になりきることができない。三十になっても四十になっても、子供ののこりかすを引きずって生きている。】
大人になるのは何かに押し出されるようにして大人になってしまう。この文章を読んで、私は何か目の前が明るくなるような気がしました。私と同じだ。主人公は私と同じ思いで大人になっているのだ。私は自分が成長していないのかと悩んでいましたが、何かに押し出されるようにして大人になったため、四十になっても子供ののこりかすをひきずって生きているのだと悟ことができました。子供ののこりかす、良く言えば、子供っぽさ。子供っぽい大人というのは、子供ののこりかすが多い大人ということになります。普通の大人も完全な大人ではない。子供と同じように遊びたいとか仕事や勉強をしたくないと思うのが普通なのですね。こういうふうに考える事が出来るようになっただけで、私の心は楽になりました。
ただ、大人は子供と違い、自分で責任を持って生きていかなければなりません。家族を養わなければなりません。自分の子供が成長できるよう導かなければなりません。育ててくれた親に感謝しなければなりません。一人では大人になれません。社会がなければ大人になれません。大事なのは、子供ののこりかすを引きずりながらでも、大人としての自覚を持つ事だと思います。そして、大人としての修行は社会人として大事であり、こどもののこりかすを掃除する良い方法だと思うのです。